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川口ビオトープ

川口ビオトープは、動植物保護の大切な拠点です。ビオトープといえば、人口の工作物を想像するかもしれませんが、この川口ビオトープは湧水に恵まれた自然界そのもののです。ここに生息する生物、植物は、全て自生のものです。八王子市の50年前の水環境がそっくり残っていると考えてください。川口ビオトープの多様な生態系は、各方面で注目されています..特にトウキョサンショウウオはこの種の最大級の生息地になっています。アカハライモリ、ヤマアカガエル、ニホンアカガエル、モリアオガエル、シュレーゲルアオガエル、アマガエル、アズマヒキガエルなどが集まり、水場はオタマジャクシで埋め尽くします。オタマジャクシや幼生を求めて、ヒバカリ、タカチホヘビ、シマヘビ、ヤマカガシ、アオダイショウなどの爬虫類、ホタルはゲンジボタル、ヘイケボタルの2種類とその餌になるカワニナが見られます。トンボはオニヤンマ、オオシオカラトンボ、イトトンボ、アキアカネ、ミヤマアカネ、ハグロトンボなど、水生昆虫はマツモムシ、マメゲンゴロウ、アメンボウなど、水生植物はツリフネソウ、ミゾソバ、トウゴクヘラオモダカ、オモダカ、オオニガナ、キツネノボタンなど、魚としてはホトケドジョウなどが見られます。サワガニも沢山います。サンショウウオやカエルの成体を求めて、ノスリ、サシバなどの猛禽類もやってきます。こんな多種多様な動植物が、全て自生であることが、このビオトープの最大の特徴です。
川口の自然を守る会 最終更新 2013-12−03
    
ヤマアカガエルの産卵 2011-02-18 トウキョウサンショウウオの成体 2011−02−18
雪のビオトープ(水路) 2011-02-12 雪のビオトープ(雑木林) 2011−02−12
咲き競う水生植物のミゾソバ
イモリの成体(1) イモリの成体(2)
イモリの幼生(1)水中でエラを広げている イモリの幼生(2)水から出すとイメージが変わる
モリは正確に言うとアカハライモリとかニホンイモリという。腹が赤く、気味が悪いので、あまり好かれないようである。最近急速に減少しているが、そのうち幾分かは研究者の採取によるものであり、残念なことである。サンショウウオに比べて飼育しやすいのが理由のようである。トウキョウサンショウウオの幼生を捕食するので、サンショウウオにとっては天敵であるが、サンショウウオより遅れて産卵するので、孵化した幼生が、逆にサンショウウオの幼生に捕食されると言う関係にある。サンショウウオと違って、厳冬期以外は常に水場に残っているので、見掛ける機会が多い。人工繁殖に取り組んでいる研究者もいるようであるが、フィールドでは成功例が少ないようで、自然繁殖した幼生を見られる機会は少ない。そういう意味では、この写真は貴重です。
ヤマアカガエル成体ペアー(上の小がオス) ヤマアカガエルの卵(凍り付いている)
ニホンアカガエルとヤマアカガエルはまだ厳冬期に冬眠から覚めて、氷の無い水場で産卵する。卵は塊状になって水に浮いているが、何らかの形で水底に固定されている。ヤマアカガエルの卵塊はズルズルで手で持ち上げようとすると、ポタポタ垂れてしまう。ニホンアカガエルの場合は、両手で掬うと、持ち上げることが出来る。産卵したあとは、再び冬眠に入る。産んだ卵は、凍りつくこともあるが、それによって死ぬことは無い。1つの卵塊に400個以上の卵が入っており、孵化したあとは、オタマジャクシで埋め尽くされる。川口ビオトープでは産卵数が急速に増え、50卵塊を越え、増殖しすぎが問題になっている。成体を求めて、ノスリなどの猛禽類、オタマジャクシを求めて、ヒバカリなどのヘビ類が集まってくる。ニホンアカガエルは近年、八王子で減少が著しい。川口ビオトープではヤマアカガエル8対ニホンアカガエル2くらいの割合で、市内におけるニホンアカガエルの貴重な生息場所になっている。
モリアオガエルの卵 シュレーゲルアオガエルの卵
シュレーゲルアオガエルの成体 ニホンアマガエル
リアオガエルは2006年に初めてビオトープで確認された。どのような経路でここに現れたのか不明であるが、すぐ近くの民家の防火用水などに産卵しているので、ビオトープまでたどり着いたのであろう。直線距離にして400メートルほどある。ビオトープの横を流れる小川が、その民家の横を流れている。水路続きである。草野先生によれば、数百メートル移動するのはごく当たり前だと言う。水場に張り出たエゴノキの枝の先端に産卵した。シュレーゲルは前から見かけていたが、卵を確認したのは初めてである。外来種のように思っている人もいるが、れっきとした在来種で、良く鳴くカエルである。卵は畦の土が露出したような所に産む。ニホンアマガエルはお馴染みのカエルですから見たことのある人も多いと思います。
アズマヒキガエルの成体(1)ペアー 成体(2)水に浮かび様子を窺う
成体(3)人が近づくと慌てて物陰に隠れる 紐のように長い卵のうを1匹のメスが2本産む
ズマヒキガエルは当地では”オオヒキ”という。産卵するとすぐに水場を離れ、周辺の山肌の木の根などの下に隠れ棲む。必ずしも湿性な場所とは限らない。水場に現れるのはほんの10日間ぐらいである。孵化したオタマジャクシは小さく、僅か6〜7ミリで幼体となり、山へ上がっていくが、アリの行列のように見える。
ゲンジボタル ヘイケボタル
ンジボタルは大きくて光が強い。見分けのポイントは前胸部赤地の中に入る縦の黒筋の中央部が丸く膨らんでいること。光り方は2〜3秒光り、一旦切れてまた光るというサイクル(4秒くらい)を繰り返す。ヘイケの場合は丸が無く、黒い筋が太い。光り方は”チカチカ”する感じ。ゲンジは各地で養殖物を放流して半ばショー的に演出され、商品化されて、自然のものとは言いがたい。産地が混乱している。(専門的にはフォッサマグナ因子と呼ばれ、本州中部を分断するフォッサマグナの西と東で光り方に違いがある。しかし今はメチャメチャに入り組んでしまっている。)ヘイケは光が弱いので、ショーの対象になりがたく、また全国的に分布し、東西の違いも無い。しかし急速に数を減らし、生息すること自体が貴重とされている。川口ビオトープはゲンジとヘイケが昔からの姿で生き残っている。環境的にはゲンジが流水性で、ビオトープの西を流れる沢に生息している。ヘイケは止水性で、ビオトープ内のサンショウウオ産卵場所などに多数生息している。
イトトンボ オニヤンマ
オトープに生息するトンボは種類が多いので、イトトンボとオニヤンマの2種の紹介に留めます。オニヤンマは当地では”オオヤマ”と呼んでいました。カカシのような独特のスタイルで、産卵している姿は良く見かけると思います。秋になるとオオヤマの勇壮な飛行が良く見られます。
ツリフネソウ オオニガナ
川口ビオトープの野草は200種以上になります。一例としてツリフネソウとオオニガナをあげておきます。ツリフネソウは群生しています。オオニガナは都の絶滅危惧種で、これも群生しています。
川口ビオトープの概要
標高:約190メートル
広さ:約3000u
地目:休耕田、谷戸は南に向かって開いており、西側を小川が流れ、ここには自然のままでゲンジボタル、サワガニ、ホトケドジョウなどが生息している。
小川と休耕田の間には、数メートル幅の孟宗竹、黒竹の密生した竹林があります。休耕田の東側は高さ2〜3メートルの土手になっています。土手の上は標高約240メートルの尾根に連なっています。大部分はクリーコナラ群落の雑木林です。一部に杉などの常緑樹が混在していま。
休耕田の水は小川から引かず、尾根からの湧水を利用しています。大小10箇所の池を作ってあります。池にはトウキョウサンショウウオ、アカハライモリ、ホトケドジョウ、ヤマアカガエル、ヒキガエルなどが多数生息しています。もともとここに生息していたものです。
休耕田は全部で10枚あります。このうち、湧水の水で潤っているのは下の3枚で、その上の7枚は半乾燥状態で、雨が降ればぬかるむが、晴天が続くと乾燥してしまいます。ここに自生している水生植物としては、ツリフネソウ、チダケサシ、オオニガナ、ミゾソバ、ヨシなどす。
土手や小下がりにはツリガネニンジン、ノハラアザミ、タカアザミ、ミヤコアザミ、ゲンノショウコ、タツナミソウ、フユノハナワラビ、リンドウ、タチツボスミレ、ツボスミレ、キツネノボタン、ヘビイチゴなどが目を楽しませてくます。
雑木林の中にはヤブランが群生しているほか、シュンラン、ツルリンドウ、サルトリイバラ、サイハイラン、クサボケなどが多く見られます。高木にはウワミズザクラ、イヌザクラ、ヤマザクラ、ミズキ、アオハダ、ネムノキ、ヤマクリ、ホウノキ、ミズキ、コナラ、スギ、ヒノキなどが多く見られます。

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