今回は川口丘陵の核心部にあるメグスリノキの大きな群落をご紹介します。メグスリノキはカエデの仲間ですが、カエデらしくない葉の形(3枚の小葉からなる複葉)をしています。紅葉は鮮やかで、カエデの中で最も美しいことが知られています。また薄く剥がした樹皮や木片、葉などを煎じて目の薬にします。かなり特効性が知られています。
川口丘陵でメグスリノキが見つかったのは、平成4年で、「川口土地区画整理事業(川口リサーチパーク計画)」の環境影響評価書案でした。現在の群生地と同じ場所に1本だけあることが記されていました。しかし、川口の自然を守る会では、当時から多数の群生地であることを確認していました。リサーチパーク計画は、中止となったのですが、新たに、ここに川口物流センターが建設されることになりました。保存緑地としてメグスリノキのある辺りは残る計画だったのですが、八王子市の環境アセスに対する考え方は、アセスさえ通してしまえば、後は何をしてもかまわないという考えで、ある時はオリンピックの自転車競技場にするとか、ある時はフィールドアスレチックにするとか、利用方法が定まりません。川口の自然を守る会では、メグスリノキの大群落は都内でも珍しく未来に残すべき貴重な自然遺産と考え、保全の必要性をアピールすることにしました。まず2016年に地元を知る五味、高野、三沢の三人で現地に入り、約12株、34本の群落であることを確認しました。また目の覚めるような美しい紅葉も目にし、写真に収めました。続いて2018年にも五味が現地確認をし、美しい紅葉も健在であることを確認しました。しかし、学術的にも通るような報告書にしないと、関係各機関に理解してもらえないと考え、今年2020年の紅葉期に、川口の自然を守る会の若手メンバーと共に学術的調査をすることにしました。その結果は2021年の1月中に、川口の自然を守る会のこのHPに記載することにしています。
今回の調査の参加者は参加者は五味の他、理系に強く、体力のある若き女性達(高山、丸山、高木)を合わせて4人でした。11月29日に専門家の内野秀重氏を招いて、現地で調査方法のご指導を戴きました。川口丘陵は八王子の丘陵中、唯一の岩山で、地質的には関東山地と同じ小仏層に属し、その上にローム層が堆積した滑りやすい山肌です。約30度の斜度を持つため、人を近づけない秘境です。非常に急峻な地形なので、沢から登るルートを開き、ロープを使って上りながら、全本数を調べました。今回の調査では、10株、27本を確認し、それぞれの位置や幹の太さを調べたほか、共生する樹木も高木、中木、低木にわけて記録し、藤蔓や葛、草本類も記録し、斜面の傾斜、地質なども調べました。新八王子市史自然編、八王子市動植物目録2016 八王子川口土地区画事業 環境影響評価書案:平成4年(1992)を参考にしました。これらの資料にわずかに記載があ
|